虫歯は「甘いもの」ではなく、「酸が消えない時間」でできる!


なので虫歯予防で大切なのは、歯磨きだけではありません
「毎日歯磨きしているのに、どうして虫歯になるんですか?」
患者様から、よくこのようなご相談をいただきます。
多くの方は、虫歯の原因を「甘いものを食べること」だと思っています。
もちろん、砂糖や糖分は虫歯の大きな原因のひとつです。
でも、虫歯の本当の成り立ちは、もう少し深く考える必要があります。
虫歯は、ただ甘いものを食べたからすぐにできるわけではありません。
虫歯は、お口の中で虫歯菌が糖分を分解し、酸を出すことから始まります。
この酸によって、歯の表面のミネラルが少しずつ溶け出します。
これを「脱灰」といいます。
つまり虫歯とは、簡単に言うと、
酸によって歯が溶かされる病気です。
しかし、ここで大切なのは、酸が出たら必ず虫歯になるわけではないということです。
人間のお口の中には、唾液があります。
唾液には、酸性に傾いたお口の中を中性に戻す力があります。
また、溶けかけた歯の表面にミネラルを戻す「再石灰化」という働きもあります。
つまり、お口の中では毎日、
歯が少し溶ける「脱灰」と、
歯が修復される「再石灰化」が繰り返されています。
このバランスが取れていれば、虫歯はすぐにはできません。
問題は、酸が出ることそのものではありません。
問題は、酸性の時間が長く続いてしまうことです。
食事や間食をすると、お口の中は酸性に傾きます。
その後、唾液の力で時間をかけて中性に戻っていきます。
ところが、だらだら食べたり、甘い飲み物をちょこちょこ飲んだり、飴をなめ続けたりすると、お口の中が中性に戻る前に、また酸が出てしまいます。
すると、歯はずっと酸にさらされた状態になります。
これが、虫歯になりやすい人の大きな特徴です。
たとえば、同じチョコレートを食べるとしても、食後に一度だけ食べるのと、仕事中に少しずつ何回も食べるのとでは、虫歯リスクは変わります。
量だけではありません。
大切なのは「回数」と「時間」です。
虫歯予防で大切なのは、糖分を一切取らないことではありません。
現実的に、甘いものを完全にやめるのは難しい方も多いと思います。
でも、食べ方を変えることはできます。
虫歯になりにくい食べ方は、
・だらだら食べないこと。
・甘い飲み物を長時間かけて飲まないこと。
・間食の回数を決めること。
・寝る前に糖分を取らないこと。
・食べた後にお口の中が中性に戻る時間を作ること。
これがとても大切です。
虫歯は「何を食べたか」だけではなく、
どれくらい長く酸性の状態が続いたかで進みます。
だから私は、虫歯予防を考えるときに、歯磨きだけでは足りないと思っています。
もちろん、歯磨きは大切です。
歯の表面についた汚れやプラークを落とすことは、虫歯予防の基本です。
でも、どれだけ歯磨きを頑張っていても、お口の中が一日中酸性に傾いていたら、虫歯は防ぎにくくなります。
特に気をつけてほしいのが、甘い飲み物です。


ジュース、スポーツドリンク、砂糖入りのコーヒー、カフェラテ、乳酸菌飲料、エナジードリンクなどを、少しずつ長時間飲む習慣がある方は注意が必要です。
「飲み物だから大丈夫」と思っていても、糖分が入っていれば、虫歯菌は酸を出します。
さらに、飲み物自体が酸性のものもあります。
つまり、甘い飲み物をちょこちょこ飲むことは、お口の中を何度も酸性にしてしまう習慣なのです。
虫歯になりやすい方は、歯の質が弱いからだけではありません。
・唾液の量が少ない方。
・唾液の力が弱い方。
・間食が多い方。
・口呼吸の方。
・歯並びによって磨き残しが多い方。
・詰め物や被せ物の境目が多い方。
・フロスができていない方。
こういった要素が重なると、虫歯のリスクは高くなります。
虫歯予防で本当に大切なのは、自分のお口の中で何が起こっているかを知ることです。
「甘いものを食べたから虫歯になる」ではなく、
「糖分が入ることで虫歯菌が酸を出し、その酸が消えない時間が長いから虫歯になる」
この考え方に変わると、予防の仕方も変わります。
・食べた後に水を飲む。
・お茶や水を中心にする。
・間食の時間を決める。
・だらだら飲みをやめる。
・寝る前は必ず丁寧に磨く。
・フッ素入り歯磨き粉を使う。
・フロスで歯と歯の間を清掃する。
・定期的に歯科医院で虫歯リスクをチェックする。
こうした小さな習慣が、未来の虫歯を防ぎます。
虫歯は、できてから削るものではありません。
できる前に、酸に負けない環境を作ることが大切です。
歯は、毎日少しずつ酸にさらされています。
でも同時に、唾液の力で守られ、回復もしています。
だからこそ、虫歯予防は「酸を出させない」「酸を長引かせない」「中性に戻す時間を作る」ことが大切です。
虫歯になりやすい方は、自分を責める必要はありません。
ただ、今のお口の環境を知り、習慣を少し変えるだけで、虫歯のリスクは下げられます。
歯磨きを頑張っているのに虫歯になる方は、磨き方だけでなく、食べ方や飲み方、唾液の状態も一緒に見直してみてください。
虫歯は、甘いものだけで決まる病気ではありません。
虫歯は、酸が出たあとに、その酸がちゃんと消えるかどうかで決まります。
お口の中を酸性のままにしないこと。
中性に戻る時間を作ること。
そして、歯を守る習慣を毎日続けること。
それが、本当の虫歯予防です。
