「天然歯に近い」とはどういうこと?
インプラントは「第二の永久歯」とも呼ばれることがありますが、実際に天然歯とどれほど似ているのか。 さまざまな観点から比較してみました。
①構造の違い|歯根膜の有無が違いのポイント
天然歯は、歯根膜というクッションが歯の根っこの周りにはあり、噛んだときの力を吸収したり、硬い食べ物や柔らかい食べ物を区別する感覚を脳に伝える役割があります。
一方、インプラントは歯を失っているため歯根膜がなくなります。
そのため、衝撃に対する柔軟性や感覚はやや劣りますが、噛む力そのものは骨のに結合させるため十分に回復できます。

②見た目・機能性の比較
インプラントの人工の歯は、色・形・大きさを患者様に合わせて作製できるため、見た目は非常に自然に作成することが可能です。 天然歯との違いはほとんど区別がつかないほどです。 機能面では、噛む力(咬合力)は天然歯と同等かそれ以上になることもあり、お肉など硬いものもしっかり噛むことができます。
③耐久性・寿命の違い
天然歯は適切なケアをしていても、加齢やお口の中の変化でむし歯、歯周病菌が優位になりダメージを受けやすくなります。
インプラントはむし歯にはなりませんが、インプラント周囲炎という歯周病に似たトラブルが起こる可能性があります。
いずれもメンテナンスがかなり大切で丁寧にケアを行うことで、インプラントは10年、15年と長持ちさせることが可能です。
④メンテナンス方法の違い
天然歯と同様、インプラントも毎日の歯磨きと定期的な歯科検診が欠かせません。
ただし、インプラントの周囲は歯根膜がないため、炎症が起こると進行が早い傾向があります。
そのため、より丁寧なブラッシングやフロス・歯間ブラシの使用、プロによる定期クリーニングが重要です。
比較表でまとめてチェック
比較項目 | 天然歯 | インプラント |
---|---|---|
見た目 | 自然 | 非常に自然 (違いはほぼわからない) |
噛む力 | 約50〜100% | 80〜120% (部位により) |
感覚 | 繊細な感覚あり | やや鈍いが問題なし |
虫歯リスク | あり | なし |
歯周病リスク | あり | あり (インプラント周囲炎) |
メンテナンス | 必須 | 必須 |
寿命 | ケアによる | ケアによる (10年継続率95%) |
まとめ
①構造の違い|歯根膜の有無が違いのポイント
天然歯とインプラントはそれぞれの特徴があります。
どちらがいいかというと、健康な天然歯でいることが確実に望ましいです。天然歯が残っている場合はできる限り保存を目指しましょう。

ですが、弱ってしまった歯や、「抜かないといけない」と言われるような天然歯の場合はなぜ弱っているのかによってはそのまま残しておくことが、体にとってかえって悪影響を及ぼす可能性があります。
その場合は「歯を抜く」という判断を迫られる場合があるかと思います。
インプラントはあくまで歯を抜いた場合の回復治療になります。
失ってしまっても骨がしっかりしていて全身状態も健康者の場合は、インプラントという選択肢が高機能で自然な穴埋め治療として有効です。
当院では、丁寧に検査・診断・ご説明し、当院から提供出来る治療プランと患者さまのご希望に沿ったご提案を行います。
患者さまへのアドバイス
インプラントやブリッジ、入れ歯、どちらにも長所と短所がありますが、「どちらが優れているか」ではなく、「どちらが今の患者さまにとって最善か」を考えることが大切です。
当院では、残せる歯はできる限り保存し、必要なときにはインプラント治療を組み合わせて全体のバランスを重視した治療計画をご提案しています。
まずはお口の中の状態をしっかりと把握し、ご自身に合った選択をするためにも、ぜひお気軽にご相談ください。