今回はこのテーマについて、くきデンタルオフィス代表歯科医師の九鬼ゆりがお答えしていきます。
骨とのくっつきが大きく関係しています
「親知らずは、できるだけ若いうちに抜いた方がいいですよ」
歯科医院でこう言われたことがある方も多いのではないでしょうか。
でも実際には、
・今は痛くない
・腫れていない
・忙しいから後回しにしたい
といった理由で、抜歯を先延ばしにしてしまう方がとても多いのが現状です。
しかし、親知らずは年齢が上がるほど抜きにくくなる歯であり、その大きな理由の一つが「骨とのくっつき方」にあります。
今回は、なぜ親知らずは若いうちに抜いた方がいいのかを、骨との関係を中心にわかりやすく解説します。
親知らずは「骨の中で変化する歯」
親知らず(第三大臼歯)は、10代後半〜20代前半にかけて生えてくることが多い歯です。
この時期の親知らずは、実はまだ完全に骨と一体化していない状態であることが多いのです。
若い方の骨には、次のような特徴があります。
・骨が柔らかい
・血流が良い
・回復力が高い
そのため、親知らずと骨の間には適度な隙間があり、歯が比較的スムーズに動きやすい状態になっています
年齢とともに進む「骨との癒着」
年齢を重ねると、親知らずの周囲では次のような変化が起こります。
・骨が硬くなる
・歯と骨の境目が不明瞭になる
・親知らずが骨にしっかり固定される
これを専門的には、歯と骨の癒着(アンキローシス)と呼びます。
癒着が起こると、
・抜歯に時間がかかる
・歯を分割する必要が出てくる
・周囲の骨を削る量が増える
といったリスクが高くなります。
つまり、年齢が上がるほど「抜きにくい親知らず」になっていくのです。
年齢とともに進む「骨との癒着」
若いうちに親知らずを抜くメリットは、抜きやすさだけではありません。
・腫れが少ない
・痛みが出にくい
・傷の治りが早い
・感染リスクが低い
といった点も大きなメリットです。
これは、若い方ほど
・血流が良い
・免疫反応が安定している
・骨の再生能力が高い
ため、抜歯後の治癒がスムーズに進むからです。
同じ親知らずの抜歯でも、20代と40代では、術後の腫れや痛みの出方に明らかな差が出ることも珍しくありません。
痛くなってからでは遅いことも
親知らずは、痛みや腫れが出てから初めて問題に気づく方が多い歯です。
しかし、
・虫歯
・歯ぐきの炎症(智歯周囲炎)
・隣の歯への悪影響
が起きてからの抜歯は、炎症がある分、治りも遅くなりがちです。
さらに、年齢が上がった状態で炎症を繰り返していると、
・骨の状態がさらに悪くなる
・神経との距離が近くなる
など、抜歯の難易度が一段と上がるケースもあります。
まだ症状がなくても、検査は大切
「今は痛くないから大丈夫」という判断は、実はとても危険です。
歯科医院でレントゲンやCTを撮ってみると、
・完全に横向きに埋まっている
・隣の歯を押している
・骨の中で将来的にトラブルを起こしやすい
といった状態が見つかることも少なくありません。
症状が出る前に抜歯を検討できることが、若いうちの最大のメリットとも言えます。
まとめ
親知らずは「若いうち」がベストな理由
親知らずは、
・年齢とともに骨と強くくっつく
・抜歯の難易度が上がる
・術後の腫れや痛みが出やすくなる
という特徴を持った歯です。
一方、若いうちであれば、
・骨が柔らかく抜きやすい
・回復が早い
・トラブルを未然に防げる
という大きなメリットがあります。
「いつか抜かないといけないかもしれない」と言われている親知らずがある方は、症状がない今こそ、一度きちんと相談してみることをおすすめします。
将来の負担を減らすためにも、親知らずは“若いうち”がベストタイミングです。
