サイナスリフトとは?インプラント治療に必要な骨造成法をわかりやすく解説

サイナスリフトとは

サイナスリフト(Sinus Lift)とは、上顎の奥歯にインプラントを埋める際、骨が足りない場合に行う骨造成手術のことです。
上顎の奥には「上顎洞(じょうがくどう/サイナス)」と呼ばれる大きな空洞があります。この空洞があるため、奥歯を失った後は骨が薄くなりやすく、インプラントを支える十分な骨の高さが残らないケースが多いのです。
そこで行うのがサイナスリフトで、上顎洞の粘膜を持ち上げ、その下に人工骨や自家骨を移植し、インプラントを固定できる骨の厚みを確保する方法です。

どんなときに必要?

サイナスリフトが必要になるのは、主に以下のような場合です。

1.上顎奥歯の骨の厚みが4mm以下しかない
→ 通常のインプラント手術では固定ができないため、骨造成が必要。

2.歯を失ってから長い時間が経過している
→ 歯槽骨が吸収され、さらに上顎洞が拡大して骨が薄くなる。

3.重度の歯周病で骨が痩せてしまった
→ インプラントを安定させるために骨造成が欠かせない。

手術の流れ

サイナスリフトは通常、以下のステップで行われます。

1.切開と骨へのアクセス
上顎の歯ぐきを切開し、側方(ほほ側)から骨に小さな窓を作ります。

2.上顎洞粘膜を持ち上げる
専用の器具で粘膜(シュナイダー膜)を破らないように注意しながら持ち上げる。

3.人工骨や自家骨を挿入
持ち上げたスペースに骨補填材を入れ、骨の厚みを増す。

4.縫合して治癒を待つ
通常は6〜9か月ほど待ち、骨が安定した段階でインプラントを埋め込む。

サイナスリフトとソケットリフトの違い

似たような方法に「ソケットリフト」があります。

サイナスリフト
側方からアプローチし、広範囲で骨を造成できる。骨の厚みが4mm未満の場合に選択。

ソケットリフト
歯を抜いた穴やインプラントを埋める部分から、粘膜を少しだけ持ち上げて骨を補填する方法。骨の厚みが5mm以上あれば可能。

メリット デメリット・リスク
  • インプラントを諦めていたケースでも治療が可能になる
  • 奥歯でしっかり噛めるようになる
  • 噛み合わせや見た目の改善にもつながる
  • 難しい治療のため専門家出ないとできない
  • 手術期間が長くなる(インプラント埋入まで数か月必要)
  • 腫れや痛みが出やすい
  • 上顎洞粘膜が破れるリスク(経験豊富な歯科医師の技術が必要)
  • 自費診療のため費用が高め

まとめ

サイナスリフトは、上顎奥歯に骨が足りない患者様でもインプラントを可能にする大切な骨造成術です。
ただし、手術には高度な技術と経験が必要であり、治療期間も通常より長くなります。
インプラントを検討している方で「骨が薄い」と言われた方は、まず歯科医院でCT検査を受け、自分に適した方法(サイナスリフトか、ソケットリフトか)をしっかり相談しましょう。