ソケットリフトとは?|上顎奥歯の骨が少ない方に行う骨造成法

ソケットリフトとは

ソケットリフト(Socket Lift)は、上顎奥歯にインプラントを入れる際に、骨の厚みが不足しているときに行う骨造成手術です。
上顎の奥には「上顎洞(サイナス)」と呼ばれる空洞があるため、歯を失った後に骨が痩せやすく、インプラントをそのまま埋めるには高さが足りない場合があります。 このようなとき、インプラントを埋める穴(ソケット)から上顎洞の粘膜を少し持ち上げて、そこに人工骨や骨補填材を入れて骨を増やす方法を「ソケットリフト」といいます。

ソケットリフトが必要になる条件

  • 上顎の奥歯にインプラントを入れたいが、骨の厚みが5〜7mm程度しかなくインプラントを入れる際にあと少し骨が足りない場合
  • サイナスリフト(大掛かりな骨造成)をするほどではないが、通常のインプラントでは骨が足りない場合
  • 骨の吸収が軽度〜中程度のケース

手術の流れ

1.歯ぐきを切開し、インプラントを埋めるための穴を骨に形成

2.専用の器具で上顎洞粘膜を持ち上げる
(シュナイダー膜を破らないように注意しながら少しずつ)

3.持ち上げたスペースに人工骨や補填材を挿入

4.そのままインプラントを埋め込む
(多くの場合、骨造成とインプラント埋入を同時に行える)

サイナスリフトとの違い

項目 ソケットリフト サイナスリフト
骨の厚み条件 5mm以上必要 4mm以下でも可能
アプローチ方法 インプラント埋入の穴から 側方(ほほ側)から骨に窓を作る
手術の規模 小規模・侵襲が少ない 大規模・高度な技術が必要
治療期間 短い(同時埋入が多い) 長い
(骨ができるまで6〜9か月待つことが多い)
メリット デメリット・リスク
  • 手術の負担が少ない
  • サイナスリフトに比べて腫れや痛みが軽度
  • 骨造成と同時にインプラント埋入ができることが多く、治療期間を短縮できる
  • 自費診療の中では比較的費用を抑えやすい
  • 骨の厚みが極端に少ない場合(4mm以下)には適応できない
  • 上顎洞粘膜(シュナイダー膜)が破れてしまうリスク
  • 骨の増加量はサイナスリフトほど大きくない
  • 自費診療であり、費用は約10万〜15万円/本が目安

ソケットリフトの費用目安

  • インプラント費用とは別に、1本あたり10万〜15万円前後が追加でかかることが多い
  • 骨補填材の種類、医院の技術料、麻酔の種類によって変動
  • 医院によっては「インプラント費用に含む」ケースもあるため、事前に確認が必要

まとめ

ソケットリフトは、骨がやや不足している方でもインプラント治療を可能にする方法です。
サイナスリフトに比べて侵襲が小さく、治療期間も短縮できることから、患者様への負担が軽いのがメリットです。
ただし、骨の厚みや状態によってはサイナスリフトが適応になる場合もあるため、CT検査でしっかり診断し、担当医と相談しながら最適な治療法を選ぶことが大切です。