“ 神経を守る ”MTAセメント治療(歯髄保存治療)
神経を残すことの重要性
「神経にまで虫歯が達している場合は神経を抜くしかない」そう思っている方も多いのではないでしょうか。 実際、多くの場合は根管治療という歯の神経の治療をしなければいけません。しかし、神経を抜いてしまった歯の寿命は極端に短くなり、将来的に抜歯のリスクが高まります。
そこで神経を保存するために用いられるのが、MTAセメントです。通常の神経を抜く治療に比べ、MTA治療には多くのメリットがあります。
- 神経を残せる可能性が高い
- 歯を余分に削る必要がない
- 治療回数が少ない
- 再感染するリスクが低い
自費診療にはなりますが、その後の虫歯の再発リスクや歯の寿命を考えれば非常に有効的な治療であると言えます。そのため当院では、MTAセメント治療が適応可能である方には、カウンセリングにてご提案させていただいております。
MTAセメントの4つの特徴
1. 殺菌力が高い
通常多くの細菌はpH9.5で死滅すると言われていますが、MTAはそれよりも高い強アルカリ性(pH12)のため根管内の殺菌にとても効果的です。
2. 密封性が高い
MTAは硬化するときに膨張するという性質があります。そのため、根管内を隙間なく封鎖し、細菌が侵入して再感染するリスクを低くすることができます。
3. 体への害が少ない・馴染みやすい
MTAセメントは、体の中に入れても悪影響の少ない優しい素材のため、安心してご使用いただけます。また、体の組織や細胞と馴染みやすい性質のため長期間体内で使用しても問題ありません。
4. 親水性が高い
セメントの中には、水分がある状態だと固まらなかったり接着力が低下するものもあります。しかし、MTAは親水性が高く水分がある状態でも硬化するため、常に湿った状態のお口の中で使用することに適したセメントと言えます。
MTAセメント治療の症例
治療説明 | 麻酔後、虫歯の部分を削りMTAセメント治療を行いました。 |
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治療期間 | 処置自体は1回 45〜60分程度 経過観察し問題がなければ被せ物の処置を行う(治療回数:2.3回 ) |
リスク・副作用 | 治療後に炎症が生じ、神経を抜く治療が必要になる場合があります。 また、治療直後に歯がしみる可能性があります。 (次第に症状は軽減・消失します) |
費用 | 33,000円(自費診療) |
治療の流れ
検査
検査器具やレントゲン等で、神経が残せる状態かを判断します。
治療計画の説明
現在の歯の状態をご説明し、今後の治療計画をご説明します。
虫歯の除去
麻酔をし、虫歯を慎重に除去していきます。
MTAセメントの埋め込み
神経近くまで虫歯を除去できたら、その穴の中にMTAセメントを埋め込みます。
被せ物の装着
2週間〜1ヶ月ほど経過観察し痛みなどなければ、被せ物を装着し治療は終了となります。
MTAセメント治療に関するQ&A
Q. MTAセメント治療のデメリットは何ですか?
メリットが多いMTAセメント治療ですが、いくつかデメリットもあります。
- 歯の状態によっては適応できない場合がある(虫歯が広範囲に及ぶ場合など)
- 自費診療になるため費用が高い
- 扱いが難しいため、歯科医師によっては効果を十分に発揮できない場合がある
このようなデメリットがありますが、治療後の虫歯の再発リスクの減少や歯の寿命を延ばすという点において非常に効果的ですので、長期的なコストパフォーマンスは良いと言えます。
まずは一度ご相談ください。
Q. 被せ物は保険適用の銀歯を入れることができますか?
MTAセメント治療は自費診療になりますので、それに関連する治療も自費診療として扱われます。
そのため、被せ物も銀歯は適用されず、セラミックやジルコニアなどの材料を使用した被せ物を入れる必要があります。
また、MTAセメント治療は “歯の寿命を延ばすための治療” になりますので、その効果を最大限発揮するためにも、適合性や耐久性の良い自費の被せ物を入れることが大切になってきます。